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Marklin 38141 SNCF 141-R形

2024年のサプライズ新製品、フランス国鉄の141-R形1244番機をご紹介します。

＜実機ミニヒストリー＞
第二次世界大戦後、SNCFは大量の機関車が必要でしたが、自国のメーカーでは製造能力がないため、アメリカへ"USRA Light Mikado"(Märklinでは、37970のNYC1890など)ベースの機関車を発注することにし、1945～46年に700輌、1947年に623輌が納入されました。製造はBaldwin、ALCOなど数社が担いました。全長24m、総重量190トン、3300馬力、動輪径1650mm、最高速100km/hで、主として貨物輸送に充てられたが、走行性能が良いので、急行列車の牽引も行いました。出自がわかるのが動輪で、スポークでなくボックスとなっています。1974年に運用は終了しましたが、1244号機は、スイスの"Mikado 1244"ソサイエティという団体により動態保存されていて、その現在の状態が今回モデル化されました。

(参考文献：Andreas Schumann, MarklinMagazin24-5号)

<モデル概要>
このモデルの第一印象は、Märklinとしては、大変細密なディティールであり、咄嗟に持つ時に、つかむところに悩みます。また、テンダーのディティール、特にキャビン側の計器やバルブ等の細部が色つきで表現されており、驚きました。実車は、USRA Light Mikadoがベースとのことですが、37970とはえらい違いです。発煙は、ダイナミックスモークではなく、旧来のSeuthe発煙器ベースのものですが、その割に高価であるのは、この細密ディティールの加工費のためでしょうか。ファンクション・サウンドも豊富で28あります。外観は、真っ黒の37970とは違い、赤いストライプで飾られたグリーンで目を楽しませてくれます。

項目	内容
メーカー／品番	Marklin/38141 (2024 サプライズモデル)
実車形式／所属	141-R (SNCF) "Mikado 1244" society Switzerland
実車型式／用途	1'D1' (Mikado)／貨物・急行貨物・急行旅客
車番／エポック	1244／Ⅵ期
全長／全幅／重量	27.9cm／38.5mm／509g (実測)
最小通過曲線	360mm(R1)　但し、施設干渉要注意
材質	ボイラー・テンダー：ダイキャストキャビン：プラ
モーター	高効率モーター　フライホイール付き
駆動	ウォームギアＤ軸駆動＋ロッドＡＢＣ軸駆動
バッファー	NEM303準拠(低)
前側カプラーポケット	なし
テンダー間カプラー	クローズカプラー(解結可能)
CS・MS表示名	141-R 1244 SNCF
加速／減速遅延	38 / 38
Vmin/Vmax	5/186　スピードカーブ：linear
モーター制御パラメータ	Vref(CV53)=80 K(CV54)=48 I(CV55)=32 Ri(CV56)=120
Sound Volume	255
mfxアドレス	88
MM2/DCCアドレス	14/3
ヘッドライト	前進：3灯(電球色)　後退：2灯(赤色)
リアライト	前進：2灯(赤色)　　後退：2灯(電球色)
スピーカー	28mm/8Ω　テンダー内
f0	ヘッドライト／マーカーライト(赤) (RL,AND1)
f1	発煙 (Out1)
f2	サウンド:機関音
f3	サウンド:汽笛(複合)(Sound1)
f4	ABV(漸次加減速)off
f5	サウンド:ブレーキスキール音off
f6	キャブ照明 (6 SUSI)
f7	マーカーライト切替(赤2灯⇔赤1灯) (7 SUSI)
f8	走行装置灯 (8 SUSI)
f9	サウンド:エアポンプ (Sound11)
f10 Moment	サウンド:スチームブローオフ (Sound14)
f11	サウンド:給水ポンプ (Sound7)
f12	サウンド:燃焼室燃料噴射　(Sound9)
f13	火室・灰箱火炎 (12 13 SUSI)
f14 Moment	サウンド:汽笛(入換) (Sound3)
f15	サウンド:ブレーキスキールon (Brake Dynamics)
f16	サウンド:インジェクター(Sound12)
f17 Moment	サウンド:砂撒き (Sound15)
f18	入換ダブルA点灯標識 (Out2,3,4, 18 SUSI)
f19	入換速度レンジ
f20	サウンド:発電機 (Sound8)
f21	サウンド:発電機 (Sound8)　＋　ヘッドライト
f22	サウンド:安全弁 (Sound16)
f23 Moment	サウンド:連結 (Sound17)
f24 Moment	サウンド:解結 (Sound18)
f25	サウンド:給油 (Sound19)
f26	サウンド:給水 (Sound20)
f27	サウンド:給砂 (Sound21)
f28	サウンド:汽笛(長) (Sound2)
メンテナンス	車軸給油：走行40時間毎
メンテナンス	ギア給油：走行20時間毎
発煙器	72270
タイヤ	Ｄ軸2輪　7153
シュー	E206 370
後側カプラー	E357 874(=72000)(低バッファー用)
付属品	説明書(含む部品表)　保証書　ホース類
推奨客車セット	43230
購入日／購入店／価格	2025.01.25／HRS(大阪)


Front View. Only one red marker is lit by F7.	ヘッドライトは３灯です。上1灯だけ個別制御はできません。写真では後退時のためマーカーライトで、かつファンクションf7で1灯標示にしているので、向かって右下のランプだけ赤色に点灯しています。f7を切ると左下ランプも赤色点灯します。前面にはカプラーポケットはなく、ダミーカプラー・エアホースが最初から付いています。バッファーは角形のシルバー塗装で格好良いです。高さはNEM 303準拠で正しいスケール値です。向かって左下ランプの奥に縦型のタンクのような物がありますが、機器のカバー(風防)でした。

Oil burner firing in the sand box can be lit.	サイドビュー。走り装置の点検灯は当然ついてます。面白いのは、キャブ内の焚き口(いや、点検窓か？)から火室の炎メラメラが見えるだけでなく、写真の中心に見えるように砂箱からの重油バーナーの炎のちらつきも見えます。

Details around cylinder and crosshead.	シリンダー・クロスヘッドまわり。ディティールは、まるで、１番ゲージに近い物があります。持つ時は、シリンダーをつまみますが、シリンダー上面にもディティールが付いているので、要注意です。

Details on the boiler. Whistle wire!!!.	ボイラー上面のディティール。ホイッスル吹鳴用のワイヤーまであります。壊しそう。

Details of cabin.	キャブのディティール。計器類に色差しされています。火室炎も見えます。カーテンがチャームポイント。

Male coupler is detachable..	通常、蒸気機関車とテンダー間は、ガイド機構付きの伸縮調整カプラーでつながっていて、このモデルもそうなのですが、ちょっとかわっているのは、機関車側のオスカプラーが簡単に着脱できるようにできていることです。今回、最初に開梱した時、オスカプラーはテンダー側のメスカプラーに挿入・連結されていて、オスカプラーの根本は機関車に挿入されておらず、機関車とテンダーは電気配線だけでつながっている状態でした。ので、テンダーを持って90°ひねって機関車と連結する必要がありました。乗務員を載せたり、キャブやテンダーのディティールを見て楽しむために、簡単に外せるようにしたのでしょうかね？

Detailed front of tender.	テンダーキャビン側のディティール。重油焚き独特のパイピングや計器、バルブ類が再現され、色づけもされており、びっくり。乗務員を乗せなければ。

Rear view.	重油炊き用のテンダーリアビューもカラフルで魅力的。赤色マーカー２灯点灯状態です。バッファー高さはNEM303準拠なので、カプラーヘッドは72000です。給水ハッチも開きそうに見えます。

以上、SNCFの141-R形の簡単なレポートでした。Märklinとしては超細密ディティールで、そのせいか高価ですが、走らせても見ても楽しめるので、おすすめです。ハンドリングは要注意ですが。牽引力は未テストですが、最近のMarklinの蒸気機関車は、昔ほど強力ではなく期待を裏切られることが多いので、このモデルも同様かもしれません。高価であるにもかかわらずダイナミックスモーク(DS)を搭載していませんが、DSは発煙剤を入れる量とタイミングが難しく、安定して発煙できないこともあるので、公開運転会での展示運転には昔ながらのSeuthe発煙器の方が楽であり、その点では良かったです。アメリカ製のフランス機関車ということで変わり種ですが、見た目が良いので公開運転会用に適したモデルということで購入に至りました。ということで、今後もサプライズ機関車には要注意です。